2010-09-10

コウダロハン


五重塔のエントリー

書いていたら
幸田露伴の「五重塔」を思いだし
再読してみた
この本は
学生を卒業し
社会人となったころ
手にしたので
もうかれこれ10数年まえ
のものになる

それは
本棚の一角に
ひっそり

していていた

ページを捲ると
「のっそり十兵衛」
動きだした

もういちど
「のっそり」の生き方

学んでみよう
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《 目次(的)あらすじ》
(個人的な響感~心に響いた文~部分ですのでご了承のほど...笑)

※原文が「口語体・当用漢字外」のため変換等うまくない箇所もありますがお許しください。
※( )内ページ数は、「岩波文庫」を参照しています。その他出版社等と異なる場合があります。


其の一 (P007~)
もしこの仕事を他(ひと)の奪(と)られたら
どのやうに腹を立てらねるか.....

其の二 (P010~)
醜態(ざま)を見よ固き讐(かたき)をとったぞと号(わめ)きちらす。
おもえばこれも順々競争(じゅんじゅんがたき)の世の状(さま)なり。

其の三 (P013~)
今度はまたどうした事か感応寺に五重塔の建つというふ事聞くや否や、
急にむらむらと.....

其の四 (P016~)
知つてか知らずに歟(か)上人様に
御目通り願ひたしと、のつそりが来しは.....

其の五 (P019~)
本堂にまで響く大声をあげ、
頼む頼む御頼(おたの)申すと叫べば.....

其の六 (P022~)
技倆(うで)もない癖に
智慧ばかり達者な奴が憎くもなりまするは.....

其の七 (P026~)
耳を傾けゐられし上人、十兵衞が頭(かしら)を下ぐるを制しとどめて、
了解(わか)りました.....

其の八 (P029~)
予(かね)て其方工事(そのほうしごと)仰せつけられたきむね
願ひたる五重塔の儀につき.....

其の九 (P033~)
噛みしめて見よ味のある話しではないか、
如何(どう)ぢや汝(そなた)たちにも面白いか.....

其の十 (P036~)
一生到底(とても)此十兵衞は世に出ることのならぬ身か、
嗚呼情無い恨めしい.....

其の十一 (P040~)
五重塔は名誉の工事(しごと)、
ただ我一人(おれひとり)で物の見事に千年壊れぬ名物を.....

其の十二 (P043~)
つい気にかかる仕事の話し故思はず様子の聞きたくて、
余計な事も胸の狭いだけに.....

其の十三 (P045~)
五重塔は二人で建てう、
我(おれ)を主にして汝(そなた)不足でもあらうが副(そへ)になつて.....

其の十四 (P049~)
ああ情無い、妾(わたし)が云はずと知れてゐて、
髷(まげ)にさされし縫針(ぬいばり)の.....

其の十五 (P051~)
言葉そぞろに勧むれば十兵衞つひに絶体絶命、
下げたる頭(こうべ)を徐(しづか)に上げ.....

其の十六 (P055~)
ああどうして此様(こんな)に仁慈深(なさけぶか)かろと
有難くて有難くて私(わっち)は泣きました.....

其の十七 (P057~)
私(わっち)は今にもしも彼奴(あいつ)が
親方の言葉に甘へて名を列(なら)べて塔を建てれば.....

其の十八 (P061~)
人の仕事の手下になつて使はれはせうが助言はすまい、
桝組(ますぐみ)も椽配(たるきわ)りも.....

其の十九 (P063~)
お蔭で男児になれましたか、
と一語に無限の感慨を含めて喜ぶ男泣き。.....

其の二十 (P066~)
上人皺枯(しわが)れたる御(おん)声にて、
これ十兵衞よ、思ふ存分仕遂(しと)げて見い.....

其の二十一 (P069~)
源太十兵衞時代にはこんな下(くだ)らぬ建物(たてもの)に
泣(ない)たり笑つたり仕たさうな.....

其の二十二 (P075~)
汝一人(そなたひとり)で建つる塔定めて立派に出来やうが、
地震か風の有らう時.....

其の二十三 (P080~)
主人(あるじ)は男の心強く思ひを外には現(あらわ)さねど、
お吉は何ほどさばけたり.....

其の二十四 (P083~)
ムム親方と十兵衞とは相撲(すもう)にならぬ身分の差(ちが)ひ、
のつそり相手に争つては.....

其の二十五 (P085~)
材(き)を釿(はつ)る斧(よき)の音、板削る鉋(かんな)の音、
孔を鑿(ほ)るやら釘打つやら.....

其の二十六 (P088~)
往時(むかし)は罪の無い夢なり、今は苦労の山繭縞(やままゆじま)、
ひらりと飛ばす飛八丈(とびはちじょう).....

其の二十七 (P090~)
我が腹立(はらだち)は
木片(こっぱ)の火のぱつと燃え立ち直(すっぐ)消ゆる.....

其の二十八 (P092~)
丈夫にはなりましたが
彼通(あのとおり)の無鉄砲.....

其の二十九 (P096~)
その後へ引きちがへて来る源太、
果して清吉に、出入りを禁(と)むる師弟の縁断(き)るとの.....

其の三十 (P099~)
死んでも業(わざ)を仕遂(しと)げれば
汝(うぬ)が夫(おやじ)は生てゐるはい.....

其の三十一(P102~)
猛風一陣どつと起つて、
斧をもつ夜叉矛もてる夜叉餓えたる剣もてる夜叉 .....

其の三十二 (P104~)
折角僅(わずか)に出来上りし、
五重塔は揉まれ揉まれて.....

其の三十三 (P108~)
汝(おまえ)の建てられたあの塔は
如何(どう)あらうと思はるる.....

其の三十四 (P112~)
堅固の塔なれど
虚空に高く聳えたれば.....

其の三十五 (P114~)
釘一本ゆるまず
板一枚剥がれざりしは.....

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解説で桶谷秀昭氏は『五重塔』について

「求心性のつよい文体とそれに釣り合った構成」
の頂点に達した「秀作」と絶賛している

また
「のっそり十兵衛」
という人間を
「小才の利かない」偏屈モノと評している


「十兵衛」はいままで露伴の小説に登場した
「芸に打ち込む」ような人物たちとは異なり

おのれのをむなしくするような「芸への精進」を描くことにより
『五重塔』という小説で複雑な人間性に
力点がおかれている、としている

そして
五重塔建立中の「嵐」(の描写)は
「十兵衛の心の魔性」をあらわすもので
嵐という「自然の力」を
十兵衛のつくりあげた「五重塔」が克服した
ということだ

建築家・安藤忠雄氏もこんな書評をよせていたのを思い出した


(参考)