2010-11-14

ケンチクザッシ 05

建築雑誌2010年11月号
表紙絵は「草虫図」(日本民藝館所蔵)だ



特集
エフェメラ(ephemera)
―短命な建築媒体を後世に―

「文書」「図面」「スケッチ」「模型」.............
特集記事のなかでも
特に眼にとまったものは
伊東豊雄氏の「建築資料の国際化」なる対談記事だ

2011年03月竣工 同年07月オープン予定
「今治市伊東豊雄建築ミュージアム(仮称)」
ことを通じての伊東氏の考え方は
建築という仕事に携わるものからすると
とても現実的かつシリアスな
「部分」
であるとおもった

少し長いが
対談記事中の一文をご紹介したい
*******************************************************
今30代の若い世代の建築家といろいろ話をしていると
CADで描くようになればなるほど
逆に模型をつくる機会は多くなっています
僕らのころは全体像を頭に入れながら
トレーシングペーパーにレイアウトして図面を
描いていましたが
CADの場合はいつも部分になってしまいますから

かつては
各スタッフの製図版を廻って歩けば
打合せはその場でできたのですが
それがでできなくなりました

そうすると
スタッフの人たちも
全体像が見えなくなることを補填するために
スタディ模型をつくるのですね
ですから
模型はますます重要になっています

それからCADがどんなに発達しても
やっぱり
手でスケッチを描きたいですからね

ただ
僕らも初期のころは手書きで実施設計を
やっていましたが
今見ると手の痕跡はやはり
面白く
いろんなことが見えてきます

ましてや
吉阪隆正さんや菊竹清訓さんなど
先輩の実施図面は
本当に描き込まれていて
それはもう
見事なものです

そういう
図面が無くなっていることは実感します

最近は僕らも3次元曲面を使う設計が多くなっていて
それを2次元で描くことに
意味がなくなりつつあります
新たな媒体も出てくると思いますし
モニターの中での表現も重要になると思います
*******************************************************
現在
僕らが直面している世界を
まことに
捉えてそしてこれからの展望も予測されているのだ

(目次)
特集 エフェメラ(ephemera)-短命な建築媒体を後世に


◇特集イントロダクション
 アーカイブの現れ出ずる場所へ 中谷礼仁
◇特集主旨 当事者の声を集めて 山口俊浩

第一部(現状)当事者による取組み
◇鼎談 建築媒体にまつわる問題提起 藤岡洋保×長谷見雄二×甲野正道
◯事例1 資料所有者(個人)の取組み
がらがらキャビネット 山田達郎
◯事例2 資料所有者(組織)の取組み
建築工事における書類・図面の電子化 保存ガイドライン 中谷晃治

◇論考 蒐集の対象とするために必要な要件
建築アーカイブから見えてくるもの 松隈洋



第二部(課題)在来の媒体はどう生き残るか
◯事例1 模写の現場から 村岡ゆかり
◯事例2 銀塩写真の現場から 小山優子
◇論考1 現用であり続けること1
建築書の25年を振り返って 荒田哲史
◇論考2 現用であり続けること2
建築資料のトリセツと製造レシピ 津村泰範
◇論考3 媒体を短命にする要因 青木睦

第三部(展開)市場価値の開拓
◇間取り1 企画展への取組みによって映し出される建築アーカイブにおける
 課題と展望 南條史生+前田尚武
◯事例1 資料集成としての蓄積と発信 グラハム・ヤング
◯事例2 教育コレクションの形成 岸泰子
◇間取り2 建築資料の国際化 伊東豊雄

第四部(展望)千年先を見て
◇間取り 蓄積と国益 高山正也
◯事例1 環境を整える 包材開発の現場から 神谷修治
◯事例2 寿命を延ばす 修復の現場から 安田智子

◇座談会 短命な建築媒体を後世に
 竺覚暁×松岡資明×中谷礼仁×後藤治

編集後記 媒体の継承と活用に向けて 山口俊浩

◇連載◇
日記のなかの建築家たち

 第11回 アンビルト・アーキテクトたち 中村敏男

◇オン・サイト◇
 羽田空港、2010年9月5日、日曜日、18時 山岸剛

◇The Long Distance Chat
 身体経験としての建築 ディディエ・フォスティノと語る
 ディディエ・フォスティノ×禅野靖司

◇特集を読んで(2010年9月号 特集=建築年報2010 建築学会総スクラム)
 総スクラムで、前へ 大西若人
 10年一昔 布野修司

2010年度支部共通事業日本建築学会設計競技入選作品
「大きな自然に呼応する建築」

2010年度日本建築学会技術部門設計競技入選作品
「建築ストックを活用した新たなビジネスモデルのための技術とデザイン」

活動レポート
 

本書は日本建築学会の会報誌であるが
南洋堂書店からも購入が可能だ