2012-11-08

pen-325 2012.11.15。

理想のすまいって、どんな「モノ」をいうのだろう?
自分らしいすまい方って、どんな「暮らし」をするのだろう?
そんな、あたりまえで「肩肘の張らない」すまいと暮らしを考えています。
pen325号の第一特集『自分らしい住まいかた。』では、
国内外のユニークで自分らしい、
居心地のよい家、
あるいはその(家の)つくりかたについて、
実例を挙げながら紹介されています。
そこにはあるもの(すまい)は、
すまい手のお気に入りの「家具」や「素材」、
あるいは「景色」、「空間(場所)」を活かそうと、
創意工夫がなされています。
「あたらしく」つくるもの、いま「あるもの」をうまく利用する暮らし、
など多種多様です。
そしてそこに現れてくる
「空間=くらし=すまい」
というものは、
つくり手側からのイメージ提案であった「ライフスタイル」というモノではなく、
「ライフタイム」というすまい手自身が紡ぎだしてゆく
「とき(彩)」というものをどう整理し描き、
かたちづくってゆくのか、ということを
私たちに教えてくれているようにも思います。
また、本号のもうひとつの特集記事『暮らしをデザインした、バウハウスの哲学』では、モダンデザインの原点として、その基盤となったバウハウス(「建築の家」)について、20世紀に及ぼした「影響と実像」について検証されています。かつて、日本で開催された「バウハウス展」の会場でのエピソードでは、『一世紀をくぐり抜けてきた今日的普遍性=無名性を物語るもの』として話題となって、その(「影響と実像」の)ことを明らかに証明しようとしていました。またそれは『生活のなかのデザイン』から『デザインのなかの生活』という、デザインによる新しいくらしを発見するための「入り口」として大いなる提案となり、私たちのくらしに多くの示唆を与えてゆきました。その「発信拠点」となったデッサウの「バウハウス校舎」。そこでは新しい生活様式、新しい人間像を「デザイン」という手法から学んだ若き男女が育ってゆきます。デッサウ校舎を設計した建築家、ワルター・グロピウスは実験住宅「ハウス・アム・ホルン」をつくり自ら『統一的モダニズム住空間』を当時の人々へと提案してみせました。そこにはグロピウスのいう『個の本質=機能を極めながら、全体が有機的な関係性に寄与する』という「理念」を表していたのです。
モノは、
その諸機能を満足させ、丈夫で、安価で、
そして〈美しく〉あるべきだ。
ワルター・グロピウス

(目次)
自分らしい  
住まいかた。
国内実例 心地よい理想の暮らし、13の実例集。
◇緑の里山に抱かれて、家族で家しごとを紡ぐ。◇
◇中庭を囲む15LDKが、多様な時間を包み込む。◇
◇楕円の窓から差し込む光が、心を静めていく。◇
◇住むほどに愛着の湧く、優しい風合いの家。◇
◇施主の好みと、建築家のアイデアが見事に結実。◇
◇積み重ねた「こだわり」が、心地よい景色となる。◇
◇北欧雑貨に囲まれた、人と物と街を結ぶ場所。◇
◇気のおけない空間で、家主の料理を愉しむ。◇
海外実例 海外に学ぶ、自分らしい家の作り方。
◇豊かな自然環境に、優れた感性を育む。◇
◇工場を自らリノベした、シンプルな隠れ家。◇
◇“狭くて収納もなし”でもアイデアが広がる。◇
◇螺旋階段を中心に、生活と仕事がつながる。◇
◇夢と現実が共存する、アーティストの家。◇
若き建築家集団が探る、新しい家の姿とは。
こだわりから生まれた、美しい日常の風景。
◇強い個性と巧みな調和術が、団欒空間を生む。◇
◇使い方をひと捻り、飾る収納という発想。◇
◇窓辺を飾る、多肉植物の小さな楽園。◇
◇ユニークな審美眼を表す、卓上のギャラリー。◇
猪熊弦一郎の蒐集に、暮らしの美を学ぶ。

暮らしをデザインした、
バウハウスの哲学。

コルビュジエに捧げる、
ジラール・ペルゴの賛歌。

(参考)