2012-11-26

京ふろしき。

限られた方形のスペースに、
四季折々の季節感や心の色を映し出し、
洗練された作法によって使い継がれたふろしきは、
世界に誇る暮らしの布。
風呂敷という言葉が
わが国にあらわれるのが400年前(1616「こくら木綿風呂敷 壱」)。
包み」。
なかのものが外へこぼれださないように。
」。
水が外へ溢れないでないように包んで。
つつましい」。
日本人は、ものがあらわに見えたり、抑制がきかないことを嫌い、
美しく包まれて、隠すことで
心根ゆかしい感覚をもっていました。
中味の見えない
包まれたものを見て、
さあ何だろう、とさまざまのイメージが浮かぶ。
まだ見ぬものへのロマンが、
一枚の布を、ハラリと解くことによって演出されるのです。
欧米では「チップ」など、
あらわにその金額が見えたほうが、もらう方は嬉しい......という作法もありますが、
日本で同じようなことをしたら失礼にあたるようにも思えます。
ていねいにお渡しする時は、
のし袋をさらに袱紗で包んでお持ちする。
お金と同時に、贈る側の「ていねい」という心が包まれます。
これが風呂敷文化の根源なのです。
「祝いの風呂敷」
「縞・小紋の風呂敷」
など
生活の「シーン」や「季節」によって使い分けていた「風呂敷」は
それを「遣う(あるいは、もっている)」人の
人柄をうつしだします。
いつの間にか、われわれ日本人は、
こんない美しい風呂敷の文化をどこかに置き忘れてきたようです。
かつての風呂敷にとってかわり「紙袋」「ビニール袋」が私たちの暮らしに
入ってきて、ものの「大量消費」へと繋がってきています。
「一枚の風呂敷」
これを日常持ち歩く鞄に仕込んでおいたら
便利にモノを「包ん」だり、「運ん」だりすることができることでしょう。
そういう暮らしの道具が
明日の日本、そして地球のために役に立つことにつながるのであれば
こんな素敵で文化的な道具は他には、ありません。
風呂敷をもつ
「恰好良さ」
みんなで身につけて、
もともと日本にあった「包む」という暮らしを取り戻したいと思います。


(目次)

風呂敷讃歌
熊倉功夫
序章 ふろしき歳時記
第一章 方形布帛(ふはく)にこめられた美
吉祥
伝承
風流
技法の彩
構成の美
和み
ふろしきアーカイブス① 江戸のふろしき
ふろしきアーカイブス② 明治・昭和のふろしき
ふろしきアーカイブス③昭和のふろしき
ふろしきの包み方
第二章 包みの美・結びの美
平包み
お使い包み
隠し包み
二つ結び
巻き結び
すいか包み
びん包み
第三章 ふろしきの美をひもとけば
意匠
染色 友禅染/引染
第四章 京ふろしきのある風景
正月・花見
夏祭・秋祭
中元・歳暮
結納・お祝い
出産・長寿
不祝儀
終章 京ふろしきの魅力
京ふろしきの魅力
ふろしきを明日に伝える
宮井宏明


(参考)