2011-11-26

ちいさいおうち


ちいさいおうちが「住んでみたい」とおもった「まち」とは
1909年8月30日、アメリカ・マサチューセッツ
父親
マサチューセッツ工業大学学監
母親
イギリス生まれの詩人であり音楽家
娘として誕生しました

バートンは
カリフォルニアにある美術学校で絵の勉強に励み
1931年に彫刻家のジョージ・ディミトリオス
結婚します


そののち
フォリー・コーヴという
海辺の
小さな村に住んで
画家・デザイナー・絵本作家
として
活躍しました


バートンの住まいには
コーブの人々が集まり、あたたかい文化が
育まれていきました

この「ちいさいおうち」は
1942年に
バートンの娘・ドギーのために描かれ
アメリカ児童図書館協会
コールデコット賞を受賞しています


この絵本に登場する「ちいさいおうち」は
「まち」の暮らしに憧れ
いつか「ああいったところ」で暮らしてみたいな
思っていた社会(まち)でした

しかし
急速でめまぐるしいほどの「社会発展」
いつのまにか
自分をとりまく「環境と自身の心」への変化となって
段々と
「(まちへの)憧れから寂しさ」
へと
かわっていくのです

しっかりと じょうぶに たてられた
「まごの まごの そのまた まごのときまで」
りっぱに残っているであろう
「ちいさいおうち」

「ひなぎくのはなも さかない」「つきよに だんすをする りんごの木」
も無い
「いつ はるが きて、なつが きたのか、いつが あきで、いつが ふゆなのか」
分からない
「いちねんじゅう いつも おなじよう」
「ほこりと けむりによごれ」
まちに「すみづらさ」を感じるようになります

まだ
「かべや やねは むかしと おなじように ちゃんとしているのに」
見窄らしくなってしまった自分に気付き
すっかり、元気をなくしてしまった

そのとき
この「ちいさいおうち」を建てた
おばあさん
「まごの まごの そのまた まご」にあたる娘家族に「自分」を見つけてもらうことができます

「ちいさいおうち」
この娘家族のはからいで、ずうっといなかのやまのうえの小高い丘へと
「引越し(移築)」することになります

そこでは

「あさになると、お日さまが のぼり」
「ゆうがたには、 お日さまが しずみ」
「よるに なると、お月さまを ながめ」
「ほしをながめ」
「はるが くると みなみの くにから とりたちが かえってくれ りんごのはなが さき」
「なつになると、木々は、みどりのは で つつまれ りんごのみは じゅくしして、あかくなり」
「あきが くると、木のは は、きいろや あかに そまり りんごつみが はじまり」
「ふゆが くると、ゆきで まっしろになり こどもたちは そりに のったり、すけーとをしたり」

そして

「りんごの木は あたらしいのに うえかえられ」

という

むかし「ちいさいおうち」が暮らしていた環境(とき)と同じような
「暮らし」
取り戻すことができるようになったのです

わたしたちの身のまわりも
よくよく見渡すと
この
「ちいさいおうち」が体験したような状況へと
取り巻かれていることに気付かされます

自然を感じることのできなくなった
社会と建築
地方を犠牲にした「エネルギー利用」の在り方


いまから約70年前に書かれたこの本は
現在
わたしたちが抱えるさまざまな「諸問題の解決」に向けた
針路
となる一書であり
いまふたたび読み返す「絵本」であると思うのです


本書「ちいさいおうち」のさいごに
こういう一文
書かれています

「いなかでは、なにもかもが たいへん しずかでした」


(参考)

大型版の絵本もあります

(追記)

《111127》

もう3年来のお付き合いをさせていただき、拙ブログへもコメントをいただいている
cap55さん
から
お手紙をいただきました

そこにはこう、書いてありました

『ブログの「ちいさいおうち」は魅力的な絵本ですね!
早速子供に読み聞かせるべく、図書館に予約入れました。
図書館には大型本も含め5冊程置いてあるようですが、
高杉さんのブログを見たからか?
既に2冊は貸出中になっていました。
結構人気のある本なんですね。』

とてもありがたいはなし、です
むかし、建築家の秋山東一さんが
blog ブログの力(ちから)
という
エントリーを書かれていたのを思い出しました

こうして、お互いにまだまだ知られていないことを
「交流」し「交友」していける発信の場が
「ブログ」

もつ「ちから」なんだな、と改めて感じたお手紙でした