2012-06-09

自然な建築。

「水、石、竹、土、和紙」と「大地」をつなぐ建築
20世紀の建築はその「場所」に『どうあるか、どうつくられているか』ではなく
『存在』と『表象』を切り離されて考えられてきました
それはまるで
『テクノロジーを競い合う広告代理店』の広告
そのものでした
その手法として『コンクリート』という材料が多用されながら
『広告』としての建築は人間にとってほんとうの豊かさからは、どんどん離れてゆきました
また
このコンクリートという、どんな「カタチ」にも追従してゆける材料は
建築家たちの表現までも自由にさせながら
『普遍的』ものとしてその姿を世界各地に現していったのです

日本でもその傾向は強くて
その場所に育った『森の木』を木材として利用することがいちばんよい
とされてきた「つくりかた」である木造は『見かけ』も『機能』もその建築が
しっくりとなじむ、という『語り伝え』とは別に少しずつ減ってゆきました
こうして
その場所にたつ『根の生えた』建築も見られなくなってしまいます
しかし
こうした建築の『存在(生産)』を広告的に『消費』してゆくようなつくり方は
もう終わりにしなければならないとおもいます
それには
建築の『存在』と『表象』をひとつのものとして『つなぎ直し』てゆくことからはじめることだ
これが本書『自然な建築』のテーマなのです
この本に登場する「8つ」の建築は
この「テーマ」を再考しながらつくられた「ケーススタディな」場所なのです

歌川広重-名所江戸百景 より

◇◇◇

①水/ガラス
「海面」と「床」を一体にさせようと考えられた『水の粒子』のような建築

②石の美術館
「石」と「空気(光)」が一体となった『グラデーション』のような建築

③ちょっ蔵広場
大谷石の壁にあけられた「無数の孔」と
何十年もかかってついた「汚れ」が一体となった『すきだらけ』の石の建築

④那珂川町馬頭広重美術館
この建築の立地する裏山にある「(八溝)杉の林」にある「空気の質感」「光の状態」
をうつしかえた、歌川広重の『大はしあたけの夕立』のような建築

⑤グレート(バンブー)ウォール
中国・万里の長城の土に育った、「バラツキ」の多い曲がった竹を
その自然のままに『身を委せた』てできた多様性ある建築

⑥安養寺木造阿弥陀如来坐像収蔵施設
「豊浦土」という「調温・調湿機能の備わった土粒子」でできた「日干し煉瓦」
によって空調設備の不要な『豊浦ねずみ』という生き物のような建築

⑦亀老山展望台
山に「埋め込まれた」メスの建築

⑧高柳町、陽の楽家
「柿渋」と「蒟蒻」と「和紙」とを使ってできた茅葺き民家の多く残る町に
『和紙だけで内と外を仕切った』建築

◇◇◇

越後長岡発/建築・風景写真より

(目次)

序章
20世紀とは

流れゆく水
水平へ、そして粒子へ

石の美術館
切断の修復

ちょっ蔵広場
大地と融けあう建築

広重美術館
ライトと印象派と重層的空間

万里の長城の冒険

安養寺
土壁のデモクラシー

亀老山展望台
自然と人工の境界線

和紙
究極の薄い壁

終章
自然な建築はサステイナブルか

あとがき


(参考)

1995.03 Shizuoka

2000.07 Tochigi

2006.03 Tochigi

2000.07 Tochigi

2002.04 Beijing,China

02.10 Yamaguchi

1994.03 Ehime

00.04 Niigata