2012-05-15

The Unknown History of Shirakawago

雪深い山里に、根付いた「焔硝生産」とその「循環型社会」がここにあります
「焔硝」

「蚕の糞」と「人尿」はその大切な原料資源となっていました

自然科学が
「体系化」あるいは「分析技術」としても
存在しなかった時代に、この
「白川村」
という場所で生産する
「術」
人々の暮らしのなかに伝承されてきた「産業」として存在していた
ということがこの「」を読むとよくわかります

本書では、白川村の人々の生活について
『すべてのモノをトコトン利用する高度な技術は
惜しみない労働に
自然やモノに対する鋭い観察力・洞察力があって成り立っていたもの』
であると記しています

「焔硝」はもともと
1543年種子島に鉄砲が伝来して以来、「戦(いくさ)の用」として用いられて来たものですが
この村では
豊かな「耕作土」をつくるためのものであったり「花火」などへの利用など、平和利用のための
「循環産業物」として村のくらしをささえていました

そして
本書の結びには、このように書かれています
『江戸時代の白川村は、現代の日本ほどではありませんが、食べ物を村外に依存する
食生活でした。しかし、流入した食べ物中の「チッ素」は、人の「労働力」と
木材の「燃焼」による熱という再生可能なエネルギーのみを使って
焔硝という有用物に変え、村外に還流していました
このような江戸時代のシステムを見直すことは、現代社会の環境問題・エネルギー問題を考える
手がかりを与えてくれるのではないでしょうか』

※焔硝=人尿中の尿素、蚕糞中の尿酸、ヒエの茎・葉や山草のタンパク質などを原料とする。
これに良質の畑土を加え、「焔硝土」をつくっていた
詳しくは『五ヶ山焔硝出来之次第書上申帳』に書かれています


(目次)

はじめに

1 白川郷とは?

2 床下でつくられていた火薬原料(焔硝)
1 焔硝の歴史
2 古文書からさぐる焔硝づくりの知恵

3 床下の土は語る
1 焔硝づくりを解明する
2 火薬原料(焔硝)はこうしてつくられた

4 焔硝生産と白川村のくらし
1 焔硝がつくる経済
2 白川村の人々は何を食べていた?

5 焔硝生産とリサイクル文明
1 焔硝生産は究極のリサイクル産業
2 チッ素の再生利用システムとしての焔硝
3 焔硝生産からみた現代文明

参考書

【特別寄稿】
和田家と焔硝生産
1 国重文和田家住宅の概要
2 和田家文書から焔硝製造をさぐる
3 和田家焔硝蔵跡と便所小屋の秘密
4 民俗館としての和田家の役割

【エッセイ】
消えた合掌の郷「加須良(かずら)」を再訪して
白川郷ミステリーに誘われて

【column】
① 硝酸イオンについて
② 藍づくりと焔硝
③ 焔硝の用途
④ 「コバシイ」とはどんな味か?
⑤ トチとナラ(ドングリ)
⑥ 魚と肉
⑦ 加須良 中野義盛家―43年の時を経て

(参照)