京町家をつくってきた大工さんの本
町の工務店の代表から薦められて読んでみました
『京 町家づくり千年の知恵―「間口三間」を生かす独自のこしらえ』
随所に
京町家の「構造」や「納まり」「暮らし方」から「現在のこと」
まで
スケッチや写真がふんだんに使われています
本書はとても興味深い
「町家大工棟梁」の
「技」や「考え方」が惜しげもなく表され
京町家の「仕組」とその「本質」が書かれているもの
になっているとおもいます
京町家に見られる
「千本(せんぼん)格子」「面(めん)格子」「木返(こがえ)し格子」「子持ち格子」
など
格子の「幅」とその「間隔」でいろいろな呼び名が
つけられています
上の写真は「糸屋格子」という
京町家では最もよく見られる格子
ですが
その町家における「商い(商売)」の種類によって
「炭屋格子」「酒屋格子」そして「糸屋格子」
など
その職種にあった
(埃が飛び難い《炭屋》、頑丈な粗格子《酒屋》、光の量を調整する《糸屋》)
ものがつくられていたようです
さいごに
「時代の流れと、人の心の移ろいやすさ」
ということから
町家大工棟梁・山本茂さんのことばが印象的だったので
ご紹介しておきたいと思います
『昔ながらのもんは住んでいるひとにしてみたら
かえって使い勝手が悪うできてるんですな
それとも人間が横着になってきたんですやろか
それが問題なんです
ほんものの町家を維持するのは美徳かもしれんし
立派なことかもしれませんけど
それを維持するには
どうしないかんのか、いうことを考えんならん
それが大変なんですよ』
(目次)
1章
2章
3章
4章
5章
6章
まえがき
プロローグ
「大工は急かすな、値切るな」
1章
京町家、その魅力と見どころ-表構えに隠された暗号が読めると、こんなに楽しい
2章
京町家のしくみと、その構造-四季折々に応じた生活の知恵を織り込んで
3章
親子二代続いた大工一家-指物大工の子に生まれ、木造ひとすじに賭けるまで
4章
町家大工の手と技-道具の数々と、木と木をつなぐ「仕口」の技
5章
京町家の料理旅館、新築への挑戦-主人と大工の執念が実現させた初の試み
6章
町家風に改修した民宿の魅力-新築との違い、改修ならではの工夫と見どころ
7章
町家に住む人々、京町家の今後-住み暮らす人にとっての町家、残し伝えることの意味とは
巻末付録 町家大工用語集