2012-10-19

木のえくぼ A DIMPLE WOOD。

2011年11月18日に予約していた本が手元に届きました
昨年、秋の九州爆裂ツアーより帰還直後に
出版元サイトより予約注文していました
著者でもありミズタホーム代表でもある、水田和弘さんは
熊本県熊本市近見というところで工務店を経営されています
爆裂ツアーで訪問したそのオフィスは
まさに「もりのなか」といった様相
入り口には「クリノキ」が植えられていて、鉄製の可愛らしいオブジェも
この本に書かれている通り「森を愛し、自然を自然のあるがままのすがたで」という
コンセプトに貫かれた社屋であったと、感嘆しながら拝見させていただきました
細かいことをきちんと然りげ無く粉しているその仕事は
水田和弘さんの「為人」を表現しているようです

本書タイトルの「木のえくぼ」とは
木の「節(ふし)」のことを指しているようです
水田さんは『節があってこそ、長い年月のあいだ林業家の人たちに愛情もって育てられた証』
だといいます
それはまるで
『人でたとえるなら、可愛らしいチャームポイント、“えくぼ”に見えてくる』と
木を、森を、愛するひとの言葉となって私たちに語りかけてきます

本書は全160ページ
オールカラーの写真と文で構成されています
少年・水田和弘さんが建築家となって27年間つくってきたもの
そしてこれから進もうとする未来がみえてくるような
約1年待った甲斐のある(笑)本として仕上がっています
(「取材開始」からは足掛け二年...という歳月を経ているようです)
※スペシャルコラムに本書を編纂の動機の様なものが書かれています。『水田さんのつくりたいもの(伝えたいもの)はパンフレットのようなモノでなく「人はなぜ、家を望むのか?」という「問い」に「素材選びから匠の素晴らしい技術」では、答えられない、解決のしようのない「水田さんの心」の奥底にあるモノを伝えられるようにしたかった』といいます。それは『四季を通じた時の流れのなかで直感的に感じられるもの』であり、水田さんの『生い立ちから始まるような物語』となって著されることになったのです。本書「木のえくぼ」には、美しい自然と、その自然から育まれてきた「日本の木」でつくられた「暮らし」が思う存分に描かれています。これは、日本の森へむけられた「小さいけれども大きな微笑(えくぼ)」なのかもしれません。

◇◇水田和弘さん語録◇◇
自然の力。
森のしずく。
卓越した技術。
窓が主役。
性能の過剰な進化は、人の体の退化を促すこともある。
四季を感じ、四季を遊ぶ。
光・風・景色を五感で楽しむ。
何気ない心地よさ。
想いが溢れれば空間(スペース)は宇宙(スペース)になる。
家族の絆まで木のえくぼがやさしく包んでくれる。
自然の中でほっとする家。
風の通る心地よさ。
少し前の日本。
時と共に。
自然は恋人。愛おしい、頼もしい、大切にしたい......という価値観の共有。
若者は汗をぬぐい また、山へと入る。
先代が生活の糧に植えた木、代々受け継いできたこと。
お金では手に入れられないもの。
子供のころに味わった、本物のとのふれあい。
小さな森と過ごす、幸せ溢れる場。
木漏れ日の注ぐ美しい庭。
もったいないという発想から工夫するという発想へ。
「風」を体で感じる。
◇◇◇◇◇


(目次)

序文

木のえくぼ

第一章 ライフスタイル
自然回帰の家/サーフィンガレージ/休日の家/The view house
小さな家/のどかな佇まい/里山の暮らし/Built in garage/小鳥と暮らす家/白蘆庵

第二章 生命
自然は自然のままに/自然は恋人/風土/水の源/わすれがたきふるさと
ツバメの故郷 人の故郷/旅立ちの時

第三章 再生
美しい日本の森を未来に
天日干し

第四章 共生
Relax くつろぎ/Detail 細部/本物の素材にふれる/小さな森と過ごす
木のえくぼ/紙の中/ふすまの紙/生物のいのちを感じる/風通し
Chair/匠のものづくりと原点/木の品格/流木

スペシャルコラム

あとがき


(参考)



taka_raba_ko 爆裂ツアー 2011―02


(追記)
この「木のえくぼ」には、建築のディテールや間取りなどは書いておりません。何故かと言いますと、木を育んでいる日本の山々が抱えている深刻な現状を知った瞬間から、私の「家づくり」の意識が根底から変わり、ただ単に「日本の木をたくさん使いましょう」という奨めや運動ではなく、木の家づくりを通して、もっと大切なことをお伝えしたかったからです。今、日本中の山が元気がありません。力を失った山は、大雨が起きると簡単に山崩れが起きてしまいます。大地がえぐられ、木が折れ倒れた森を見ると私は心が痛みます。でも、そんな現実が今、各地の山で実際に起きているのです。私たちの住む「里」は山と海とで結ばれています。山で起きたことは里や海へと繋がっていくのです。自然破壊や大雨で山が荒れると、その影響は災害や濁流となって里を壊し海が濁るのです。私たちはその事実を知り、今すぐできることに取り組まなくてはなりません。山が蘇る!容易なことではありませんが、人の手によってやったことは人の手でどうにかなる気がします。木の家をつくることは、自然の恩恵を受けて成り立つものですから、私自身これからもっともっと山と向き合っていくことが大切だと思っています。この本を手にとっていただき、少しでも記憶に残るものがあったとしたら嬉しく思います(本書、「あとがき」より抜粋)。