なぜ
この人たちは原子力の危険を警告し、それ以外のエネルギーを選択肢として提案するのか?
本書は
昨年2011年5月23日
衆議院においては
「東日本大震災復興特別委員会」
にて
「ありもしなかった海水注入中断の責任」
により
「菅おろし」
という
討論ともいえない議論がなされていました
現在も日本国民が被っている
「原発災害の現実」
や
「原発の内在的危険性の本質」
そして
「エネルギー経済危機解決の道筋」
などについては討論されることなく
むしろ、遠ざかるばかりのものであったということです
そんななか
時を同じくして参議院において開催されていた
「行政監視委員会」
では
「参考人」といわれる人々によってこれらのことが
「わかりやすい言葉」と「原理・原則的に原発」のことが語られていました
このことは
新聞・マスコミにおいても前記委員会ほどの報道はされておらず
むしろ「なにごともなかった」かのような扱いを受けていました
それを
この本は
そのとき話し合われたすべての内容を網羅・記述し、日本のこれからのエネルギーを
考えていく上での「現代史記録」として描かれた
全記録なのです
本書のまえがき
「五月二三日の小さな希望 ― まえがきにかえて」
に
中尾ハジメ(京都精華大学教員)氏が
本書のもつ「意味」と興味深い「エピソード」
を
残されていますので抜粋しておきたいと思います
『衆議院および参議院の会議録は
会議の日からまる一ヶ月は、それぞれ衆議院、参議院のホームページで
それ以後は国会図書館のホームページで閲覧できることになっている
しかし実際には、五月二三日参議院行政監視委員会の会議録を
参議院ホームページで閲覧できたのは、六月二二日たった一日間のことであり
国会図書館ホームページから閲覧できるようになったのは
六月末になってからであった
もちろん、今では、たてまえ通り、この会議録を国会図書館ホームページから
閲覧できることはできる
しかし、電子社会のひとつの問題は、この「閲覧できることになっている」という
たてまえのありかたでもある
私たちは、多数の人々が、老若男女が、デジタルデバイドに隔てられずに
二〇一一年五月二三日参議院行政監視委員会の会議録を
ひとつの現代史記録として読み、勉強会や研究会を開いたりもできる
「図書」の
形にしておく必要があると考えた
心して読み、記憶にとどめ、互いに議論し、私たちだれもが飲み込まれている
この国の原子力をめぐる政策について、声をあげることができるように
参考人たちの警告と提言が、二度とふたたび黙殺されないように。』
そう
過去日本の原子力安全神話は、多くの「黙殺」という
私たち日本国民には知らされていない事柄によって成り立ってきたということ
が
この本を読むとよくわかります
そして
『エネルギー元年』ともいうべき、本年2012年は
ぜひ
この「記録書」を手にして
「エネルギー社会のしくみをかえるために建築でできることはなにか」
を
実践して参りたいと思っています
(参考)
(原子力工学者、京都大学原子炉実験所助教)
(元東芝・原子炉格納容器設計者)
(地震学者、神戸大学名誉教授)
(実業家、ソフトバンク株式会社代表取締役)