2012-04-23

1000%の建築 僕は勘違いしながら生きてきた。

「考えるを考える」建築家・谷尻 誠

好奇心は「人を大きく成長させてくれ」るもの
好奇心は「大人になると少なくなって」しまうもの
好奇心をもつことは「考えることへのきっかけ」になり得ること
それは「建築に限らずどんなことにも置き換えられる」ということ
そんな谷尻さんの「心の中にある断片」が一冊の本として
設計された(纏まった)ものが本書なのです

谷尻さんの設計された本書は
「帯」からはじまり、カバーを外した「本体表紙」にまでも
その「本文」は及んでいます
釣り好きで、バスケットボール少年であった
谷尻誠さんの「1000%の建築」
作品集でもなくエッセイ集でもない
不思議な「本」です
唯一、「建築らしい(笑)モノ」が出てくる箇所は
谷尻さんが生まれ育った「生家」のことが書かれている部分です
「勘違いが生まれた部屋」
という
タイトルのついた短文とスケッチで紹介されています

『実家は、間口4m、奥行25m、典型的な「うなぎの寝床」の町家でした
屋外と屋内の関係が密接なため
雨の日は傘をさして台所に行き、冬には尋常でない寒さを体感しました
「町家」
というと古き良き時代の生活を連想しがちですが
実家のことを振り返ると、このように不便なエピソードをまず思い出します
実家を離れて約20年が経った今
町家での暮らしが実に風情のあるものだったと気づかされます
町家の内部を吹き抜けていた独特の風のおかげで室内には
夏でも涼しいところがあり、そこでよく昼寝をしたものです
季節の変化も手に取るように分かる家でした
また、決して明るい室内ではなかったので
明かりの大切さや、刻々と暮れゆく日の移ろいを感じ取ることができました
今自分が設計の仕事をしていくうえで、町家で生活した経験は
大きな財産になっています
不便さを受け入れた経験が、今の自分の考え方の
背景にあるようにも思えるのです』


(目次)

勘違いのはじまり

勘違いの建築

これからの勘違い

まことのまとめ

あとがき


(参考)

谷尻 誠 Wikipedia

1000%の建築 僕は勘違いしながら生きてきた

OPENERS いま、世界が注目するニッポンの若手建築家たち