江戸のグラフィックデザイナー・歌川国芳の「没後、150年」にあたり
一挙420点の「代表作」が展示された展覧会でした。
会期は、
2011年12月17日~2012年02月12日で、
前期(2011.12.17-2012.01.17)と後期(2012.01.19-2012.02.12)
展示作品入れ替え制というもの(既に、終了しています...笑)。
2011年12月17日~2012年02月12日で、
前期(2011.12.17-2012.01.17)と後期(2012.01.19-2012.02.12)
展示作品入れ替え制というもの(既に、終了しています...笑)。
じつは森美術館で開催されていた、「メタボリズムの未来都市展」を目的で観にいったのですが(笑)、同美術館と併設されている森アーツセンターギャラリーの本展にも惹かれて.....。結論、観てよかった...と思いました。国芳展の会場は「老若男女」溢れんばかりの熱気に包まれていて、まるでその様は「組絵」を観ているようでした(笑)。歌川国芳は、父・柳家吉左衛門が営む染物屋に生まれ、『画想の豊かさや斬新なデザイン力、奇想天外なアイデア、確実なデッサン力』をもち、国内にとどまらない、研究者・デザイン関係者・若者に支持されています。また、ロンドン、ニューヨークなどでも展覧会が開催されていて、海外でも大きな反響を得ています。『国芳の魅力は、なんと言っても、限りなく広がる自由なイマジネーションの世界にあります。物語の夢と冒険とロマンを具現化する手腕においては、他に並ぶ者のない卓越した才能』を発揮しました。『題材・ジャンルも、武者絵、役者絵、美人画、風景画といった伝統的なものだけでなく、戯画、時事報動画、子ども絵と多岐にわたり、シリーズ物も多いことから、これまで紹介される機会がなかった魅力的な作品も数多く、今でも新たに傑作が発見』されているということです。
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国芳の没後150年にあたり、本展が開催されることは誠に喜ばしいことである。1971年に365点もの国芳作品を展観する「奇想の画家・歌川国芳展」(於サントリー美術館)を企画され、1996年に生誕200年を記念する「歌川国芳展」(日本経済新聞社ほか主催)を監修されたのは、鈴木重三先生である。国芳を深く愛で、江戸の当時の類縁文化と作品の有機的関係を説かれ、実証的な資料を多く提示されるとともに、国芳ばかりではなく、浮世絵全般の理解にとって必要不可欠な図像学的な視点からも深いご考察を示して、研究のあるべき道を開かれた。生誕200年記念展に寄せた先生の「歌川国芳小伝」は、「国芳の立ち入った真の研究はこれからである。」と結ばれている。先生は本展の開催を誰よりも楽しみにされておられたが、昨2010年9月1日、91歳で永眠されてしまった。誠に残念でならない。1961年にロンドンで、海外において初めての国芳画集『KUNIYOSHI』を詳細なデータと共に出版し、1982年には膨大な数の国芳の武者カタログ・レゾネを所蔵した、『KUNIYOSHI:The Warrior Prints』を著したイギリスのロビンソン(Basil W.Robinson)氏は、2005年12月29日に93歳で亡くなられた。二氏の情熱と真摯な学究なくしては、国芳の本格的な研究、普遍的な評価がなされることはなかったであろう。本展は、このような先学の研究成果を受けて開催される。監修者はもとより浅学の謗(そし)りを免れえないが、作品そのものが何よりも多くを物語ってくれることと思う。国芳の絵は、絵本来の持つ力、絵だけが具現できる楽しさに溢れている。その魅力は、浮世絵の枠を越え、時代を越えて、現代の我々にも伝わるものを充分に持っているが、制作当時の環境、背景を知り、江戸の当時の人々と思いを同じくして作品に接することができれば、国芳の作品はより一層の力と楽しさを与えてくれるはずである(「歌川国芳-幕末の奇才浮世絵師」より)。
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歌川国芳は、その「精緻な技能」に恵まれながらも、そこに描かれているものは自然への「畏敬の念」をもちながら向き合っていたように思います。何故ならそこにある「人や生き物」たちは、江戸という社会で、その自然(環境)をうまく利用した「暮らし(生き方)」をしている状態を、私たちの眼で見てもわかるよう、いきいきと描かれているからです。これは「絵」としての美しさを越えた国芳のそうしたモノへの「みかた(視点)」があって、幅広い年齢層から世界の人々より、支持を受けているということがそのことへの証でもあると思います。
歌川国芳は、その「精緻な技能」に恵まれながらも、そこに描かれているものは自然への「畏敬の念」をもちながら向き合っていたように思います。何故ならそこにある「人や生き物」たちは、江戸という社会で、その自然(環境)をうまく利用した「暮らし(生き方)」をしている状態を、私たちの眼で見てもわかるよう、いきいきと描かれているからです。これは「絵」としての美しさを越えた国芳のそうしたモノへの「みかた(視点)」があって、幅広い年齢層から世界の人々より、支持を受けているということがそのことへの証でもあると思います。
(目次)
歌川国芳-幕末の奇才浮世絵師............岩切友里子
国芳の略伝と画業概観
1.画業の初期
2.文政末から天保期
3.天保改革期
4.嘉永期以降の晩年
国芳の人柄と後ろ姿
図版
01 武者絵-みなぎる力と躍動感
02 説話-物語とイメージ
03 役者絵-人気役者のさまざまな姿
04 美人画-江戸の粋と団扇絵の美
05 子ども絵-遊びと学び
06 風景画-近代的なアングル
07 摺物と動物画-精緻な影と摺
08 戯画-溢れるウィットとユーモア
09 風俗・娯楽・情報
10 肉筆画・板木・版本ほか
作品解説
参考資料-版元別無題武者絵シリーズ目録
歌川国芳年譜
主要参考文献
(参考)